2000年9月29日
釣行記 ゆっくりした時の中で〜

 

今シーズンも最後の釣行となった。

今回は名古屋のAKさんの最終釣行に便乗させてもらった。

AKさんとは2年程前からメールでやり取りしていて今回が始めての釣行。

彼はあるエッセイから今回行く川を知ってそれからこの川に通うようになった。

僕はそのエッセイを読んでいないが彼の釣りとその川を見てみたくなった。

最後の釣りは釣果は望まず心に残るような釣りをしたかった。

 

AKさんは車中泊で翌日も釣りをするので現地集合と言う事で家を出た。

釣り場に向かう途中の峠道で前方に見た事のある名古屋ナンバーの車が見えた。

追いつくと車を路肩に寄せ先を譲ろうとしたので僕も車を路肩に止めた。

車から降りるとやはりAKさんだった。

お互い同じ道で来ていたみたいだ。

しばし談笑後、AKさんに案内してもらい現地に向かう。

かなりの峠道でこれから行く山里が寂しい土地である事が予感された。

 

現地着、暗い中で少し話していると夜が明け始めた。

木で出来た橋が見える。

そこから入溪すると言う事だった。

道路を通る車はまったく無く山里は静かに時が流れている感じだ。

なんと言っていいのか...心が落ち着くのを感じた。

釣り支度をし川に下りる。

そこにはまったく護岸の無い自然のままの川があった。

本来の川はこんな感じなのか?

まずはAKさんに先行してもらう。何度かアタリが有ったみたいだがフッキングしなかったみたいだ。

僕にもアタリが有るがフッキングしない。

交互に釣り上っているうちにぽつぽつ釣れるようになった。

サイズは15cmクラスがほとんどだが、どの魚も魚体が美しかった。

川の両岸は人工物が無い変わりに溪から出るところも無く上流の橋まで釣り上るつもりだ。

AKさんとは何度かお会いした事があるが今回が始めての釣り。

釣り上るリズムが僕とほぼ同じで交互の釣り上りも全く苦にならない。

ずっと前から一緒に釣りをしているみたいに感じた。

橋が近づく頃、なかなか良いサイズがAKさんのフライに出るようになった。

残念ながら乗らなかったが、さすがにこれを見て僕もあのサイズを釣って見たくなってしまった。

釣果は二の次と思っていてもやっぱり良いサイズが釣りたい...

「やっぱり大物嗜好ですか?」

AKさんは僕のそんな気持ちはお見通しだったみたいだ。

お恥ずかしい(^_^);

 

橋の辺りに来る頃にはもうだいぶ足にきていたみたいだ。

今週は4回目の釣行でだいぶ疲れが溜まっていた。

何度もこけそうになった。

 

橋で一度川から上がる。

かなり釣り上った気がするが、実際はそれほどでもなかった。

ススキ野原がもう秋が深まっているのを教えてくれた。

 

車まで帰りしばし休憩。

AKさんがガダバウトチェアーを貸してくれたのは疲れ気味の僕にはありがたかった。

彼は最近、藪沢のショートロッドの釣りに入れ込んでいて、その話を楽しく聞かせてもらった。

どれだけ話したろうか?

もうイブニングの時間になっていた。

 

先ほど終了した橋からさらに釣り上る事にした。

昼間はカディスのハッチが続いていたが、シロハラやアカマダラ?等のカゲロウのハッチがメインになり幻想的にスピナ−が乱舞している中を釣り上る。

ライズは無かったが、魚信は確実に多くなった。

AKさんがコンスタントに釣りだした。

魚のサイズも先ほどよりサイズアップしている。

僕は何度もこけそうになりながら遡行していた。

一度こけて少し服の袖をぬらしてしまい秋のひんやりした空気が骨身にしみた。

フライのドリフトもいい加減になり、すぐにドラックが掛かるフライには魚も出てはくれない。

「もう帰れ!」川がそう言っているみたいだ。

2匹釣る事が出来たが、もう限界が近づいていた。

両岸岩壁の所へ出た。

ここで僕の限界を悟ったようにAKさんが「もう上がりましょう」と言った。

この上だけ...

最後の力で岩ヘヅリをし大きな落ち込みの上に出た。

しかし魚信は無かった...

振り返るとAKさんが見守っていてくれた。(ように感じた)

これで、決心できた。

 

車へ戻り荷物を片付ける。

ゆっくりと流れる時間の中で気持ち良い釣りが出来た。

やるだけの事をやり今日の釣りに満足もしていた。

今シーズンも終わりかと思うと、その場は立ち去りがたく彼と真っ暗になるまで話しこんだ後、来シーズンの再会を約束し別れた。

 

今シーズン最後の釣りはこんな風に終わった。

AKさん、素晴らしい川に御一緒して頂き本当に感謝しています。

 

−完−